top of page

Vol#25 産まれたときから宗教3世だった私。宗教2世にピンと来なかったが…

  • 執筆者の写真: Rio
    Rio
  • 2月19日
  • 読了時間: 7分

今回お話を聞いたのは、会社の同僚のモリさん(仮名)。

私の普段の取り組みを通して知り合い、宗教3世であるとのことでお話を伺った。



宗教3世のモリさんが属していた宗教団体


  • 1930年代頃に創設

  • 全国に精舎と呼ばれる建物があり、本部と全国各地に支部がある。

  • 「在家仏教」に位置付けられ、出家せずとも仏教の教えを学び実践することができる

  • “経(すじ)”と呼ばれるグループ制度がある

  • 菊池真理子さん著書「「神様」のいる家で育ちました」に類似事例あり

 →ネズミ講の親と近い。経単位での集会もある。何人かお助け(紹介・勧誘、修行の一部)すると、級?が上がり、霊能者に近づく。人数が増えると自ら経親になってグループを作ることができる。



幼少期


まずは家族構成から。


モリさんの母方の祖母、ご両親、モリさん、弟、母の弟が団体に入信していた。

平成10年ごろまで一人の意思で家族全体入信するという制度もあり、モリさん自身に入信の意思がなかった頃から子ども含めて入信していたようです。


「10代前半ぐらいまではなんだかめんどくさいなとは思いつつ、特段違和感はありませんでした」モリさんはゆっくりと話し始めました。


小さな頃は主に土日の法要や集会に参加することが習慣だった。

法要、集会は1回につき1時間から1.5時間程度。基本は正座で読経、仏教学に基づいた教えを受けたり「救われた」人の経験談を聞く。


「話の意味も全てわからないのでぐずる弟をなだめながら、正座しているフリをしながら裏で崩している感じでした。お供え物を分けるような時間があり、お菓子がもらえるんです。一緒に行った祖母に帰り道にお菓子を買ってもらったりもする。それが参加のモチベーションでした」


モリさんが中学生の頃は、土曜の朝に清掃活動などにも参加していた。

強制されるようなことはなかったが、朝4:30くらいに起きて駅前で清掃活動を行っていた。終わったら名簿に名前を書いて帰るといった流れだった。



違和感を覚え始めた時


「高校生の頃、仏教学などに興味もあったので、真面目に学んでいた時期がありました。高校を中退したこともあり、集会に行けば友人にも会えることも楽しみの1つでした」


教えられることは仏教学に基づく内容もあり楽しかった。でも、教義がわかると逆に段々と「何故お金がかかるのか」に疑問を覚えるようになった。


どういうことにお金がかかるのかを聞くと、


「基本的には供養や霊のお祓いなどでのお布施?支払いでした。先祖供養や、人と揉めたとき(揉めた相手の先祖さまの供養など)、霊がついているなど、ちょこちょこお金がかかっていました。1回当たりの金額は数百~万単位ほど。親が払っていたことがほとんどだったので総額は正直分からないですが、自分に関することは私が払うこともありました。他にも本部への参拝費、修行費、内部の学校のような制度にもお金がかかっていました。祖母は霊能者になる一歩手前ぐらいまで活動していたぐらい熱心な信徒であったため、かなりの額を払っていたはずです」


一番モリさんが困ったのは金銭面。1回1回はそこまで大きな額ではなかったし強制させられるようなことはなかったが、ちりも積もれば山となる。常に母からもうちは貧乏だ貧乏だと言われて育ち、何故この団体にはお金を払うのかが不思議でなかったという。



団体を離れる


「30歳手前で、親と一度すごく揉めました。」


少しずつ溜まっていたストレスが爆発し、母と揉めたというモリさん。


「昔から何かにつけて、『教えが、教えが、』と言われていたのがすごく嫌だったんです。高校を中退しながらも何とか大企業に就職した際にも、私の努力について触れず『団体のおかげだ』と言われてすごく怒りました。引っ越しても近くの精舎に行きなさいなどと言われ、そうした細かなストレスが溜まっていました。堪忍袋の尾が切れて、母へ言いたかったことを長文の手紙にしたためて、絶縁状のようにして送りつけました。菊池真理子さんの本にも類似したシーンもあり、思わず頷いてしまいました。その頃、弟が進学に使う予定だったお金を、誰よりも熱心に入信していた祖母が弟のことを思って団体につぎ込んでおり、弟が激怒した話も聞いていたため、お金を払ってまでやることかという思いが募っていたこともありました。」


そこからモリさんとお母さんは1ヶ月ほど音信不通に。今は普通に会話もし、時折母から集まりに行ったなどの話を聞くことはあるが、教えに関して言われることは無くなった。今でもモリさんの名前はおそらく団体名簿に記載されているものの、精舎に行くことは全く無くなった。


それまでは自分の家だから、自分の親がそういう人だからと思っていたが、こうして行動できたのは、親の力を借りずに生活できるようになったこと、そしてネットを通して自分の家庭の状況を客観視できるようになったことが大きいと話すモリさん。



「結婚した時もそうです。夫や私たちの子どもには宗教の話はするなと、母には常々言っていました。夫も過去宗教関連で嫌な目に遭ったことがあるらしく話をさせたくなかったのと、子どもに対しても親子目線ではないところの価値観でモノを語られたくありませんでした。それでも里帰りで私がいない時に夫に話をしていたらしく、それでも怒りました。もし私たちの子どもに教えに関する話をされた時には、母と縁を切ります。」



何よりも嫌なこと


淡々と話す印象があったモリさん。ですが、話す中で語気を強めたところがありました。

「実は、何よりも嫌なのは自分の名前です。同じ団体の友人もそうでしたが、子どもの名前を決めるとき、団体に選んでもらうなどの儀礼があるそうです(現在も続いているかは不明)。」


親が子どもの名前の候補を持っていって選んでもらうパターンもあれば、一部をひねったり、全く新しい名前が勧められることもあるそう。


「中学生の頃、他のクラスで自分の名前の由来を調べてこよう、との宿題が出されたことを耳にしました。怖くて親に由来を確認したところ、私の名前は団体から勧められて決められた名前だったことが分かりました。しかも由来を聞いたのに、母からは当時の団体での様子などを嬉しそうに語られました。幸い私のクラスではそうした宿題は出されなかったため事なきを得ましたが、シンプルに名前が嫌なんです。」


今回話を聞かせてもらう上で、当時の想いなどを人生で初めて棚卸ししてみたというモリさん。メモを眺めながら、最も嫌だったのは名前だったということに自分でも改めて気づいたようだった。



最近の宗教2世の問題を聞いて


宗教2世問題が取り上げられるようになり、そのことについてどう思うのかモリさんに聞いてみた。


「宗教2世という表現が出たとき、そうなのかと思った。私自身は精神を病んだことはなかったので、宗教2世と言われても正直そうなのかなという印象。ただ、定義ができたことで、私が苦しんできたことは普通はないことなんだと気づくことができました」


同じ団体に属していても家族関係が壊れた例なども一定耳にしたことはあるそうだが、本団体に関してはそこまでではなくてもモヤモヤしている人が多いのではないかとも話されていました。


「一般的な宗教は、心の拠り所だと思うし否定はしません。本団体に関しても、親や祖母がすがった背景も一定理解しているし、親や祖母が入信したことを否定するつもりはありません」


「一方で、(団体は)せこいなと思う。強制力を明らかに出しているわけではない。社会奉仕活動など対外的なPRに敏感で災害救助などにもかなりお金を出している方。ただし、そうした団体の活動を支えているのは、巻き上げていると思わせないような形でお金を巻き上げているから。宗教2世問題が盛り上がったときにもすぐさま相談窓口を作ったようで、その辺りもうまいと思います。」



さいごに


私は宗教学や仏教に興味が今でもあります。お金の絡まない文脈で仏教に出会いたかったです。


『私が割り切れたのはなぜかというのは、ヒントになることがあれば』と記事作成にご協力いただいたモリさん。最後に言われた言葉が何よりも、心に突き刺さる。


Comentários

Avaliado com 0 de 5 estrelas.
Ainda sem avaliações

Adicione uma avaliação

©2022 by multiblack

bottom of page