プロフィール
インタビュー相手:40代男性
インタビュー時期:2023.5
マルチ商法との関係:妻が元会員(会員歴:1年未満、収入:0円(購入のみ))
会社:ドテラ
ドテラ製品を購入
元々、美容や健康意識の高い妻でした。昔から「すっ○んエキス」「サ◯ードリンク」「にん◯く卵黄」など流行りの健康食品をちょくちょく購入していました。
他にも、ロシアの診断機器メタトロンを知り診断を受けていました。
その際は身体に合わない食べ物などを指摘されたようです。
私は健康食品や怪しい医療などには興味が全くないので、妻が聞いてきた健康情報や診断結果を話しかけられてもそっけない対応をしていました。
そのため、「夫に話しても興味持ってくれないから、自分と趣味の合う仲間と話し合った方がいい」との思考になっていったのだと思います。
あるとき妻は地球環境問題に取り組むサークルに所属し、その中にいたMと仲良くなりました。
Mは整体院を経営しており、施術に通う中で店舗内にあったドテラのアロマを見た妻が興味を持ち、ほしくなって購入しました。
なお、妻は会員になって購入をしただけで、販売員にはなっていません。
子どもへのアロマタッチ
その後、別のリーダー会員Nを紹介され、Nの主催するアロマセミナーに数回出かけていました。
その中では、アロマタッチと称する原液塗布やアロマエッセンシャルオイルの使用方法などが説明されていたようです。
初回購入から8ヶ月ほどで総額15万円ほどの製品(アロマ、ミネラル飲料、ボディクリーム、ディフューザー)を私に断りなく購入していました。
ちなみに、妻は家計簿をつけているのですが、ドテラ製品の購入は記載していませんでした。
私は新規事業を始めその間私は週に一度程度しか自宅に戻ることができなかったため、ドテラ商品は増えていったもののマルチ会社の製品だと気づいていませんでした。
子どもが2人いるのですが、妻は子どもにアロマタッチをしていました。
ある時、長男が足を痛め、湿布薬が自宅になかった際、「このクリームは鎮痛効果があるから」とボディークリームを塗っていました。
それが気になり、調べたところ有名なマルチ商法会社であることに気付きました。
思い返すと私にも「練習させて」とアロマエッセンシャルオイルを背中や手に塗られました。おそらく原液塗布と思われます。
妻が言っていたことは、
「ドテラは天然で高品質。だから安全」「ドテラは他のアロマ製品とは違う」「会社としても社会貢献している」「あんなにいい人(M,N)が私を騙すはずがない」「Mさんたちからマルチ商法とは聞いていない」「製品を買わされたわけではない。私が欲しくて買った。Mさんは高価なものだからと無理に薦めていない」「ミネラルを飲んで(疲れたら出てくる)口内炎の治りが早くなった。体の調子がいい」「ドテラで生きる意味を見つけた」「ドテラ製品を私の収入やお小遣いの範囲でなら購入してもいいでしょ?」「(購入をやめるように言った際)あなたは私の生きがいを奪うの?」
周囲への相談
複数の機関に相談しました。
マルチ商法やカルト問題に詳しいこちらの公認心理士に相談しました。
「健康被害報告が出ており、(マルチで有名な)A社よりある意味では悪質です」とのこと。
地域の消費生活センター、日弁連の霊感商法等の被害に関する窓口への電話相談アドバイスを受けました。
■消費生活センター
妻が希望して購入していることや、クーリングオフなどの期間も過ぎていることで具体的なアドバイスはありませんでした。マルチ商法の相談事例としては受理されたようです。
■日弁連 霊感商法等の被害に関する窓口
状況を伝えたところ「現行の法律では犯罪として立件することは難しい。ご家族として悔しいとは思われますが、しかし、PIO−NETには相談件数として必ず集約されます」との回答でした。
■城西大学薬学部 S教授(アロマ研究者)へのメール問合せ(以下返信メールより抜粋)
Q.アロマエッセンシャルオイルを飲み物や食べ物に混ぜても平気なのかどうか?
A.ヨーロッパではエッセンシャルオイルを医薬品として扱っている国もあり、そのような国では口に入れるケースもありますが、国内でエッセンシャルオイルは「雑貨」扱いであるため、口に入れることは想定されていません。口に入れても大丈夫か?については、国内で流通するオイルは口に入れる
ことを想定していませんので、服用は避けてほしいと思います。口に入れた際、身体に害があるか否かは、エッセンシャルオイルの品質とは無関係であり、たとえ品質が高くても、口に入れる量によっては身体に影響を引き起こす場合もあると思います。エッセンシャルオイルは医薬品としての
一面も有しているため、過剰に摂取すると通常の医薬品と同じように副作用(有害作用)が
発生する頻度が増すと考えられます。
Q.アロマオイルは香りを楽しんだりするのではないのか?(アロマオイルを「食品添加物」「化粧品」で分類している)
A.仰るように国内においてエッセンシャルオイルは、「雑貨」であるため、基本的には香りを楽しむものだと思います。ただ、自己の責任の範囲且つ、副作用が発現しない用量で皮膚などに塗布する場合もあります(口に入れることはありません)。
Q.ドテラ社の製品を紹介している内容は信ぴょう性があるのかどうか?
A.ドテラ社に限らず国内においてエッセンシャルオイルは雑貨であるため、品質に関する基準がなく、消費者はどのメーカーの製品であっても製造者の品質データを信じるしかないのが現実です。さらに、品質の良否に関してですが、エッセンシャルオイルは植物の香り成分を抽出した「天然物」ですので、その植物が育つ環境や植物から精油を採る時期によって、エッセンシャルオイルの成分は大きく変わってしまいます。従って、何が良品なのか?と尋ねられると一言では答えられないのが現実です。ただ、成分のばらつきが大きいのは、一見悪いことのようにも感じますが、多様性が大きくエッセンシャルオイルの個性と考えることもでき、成分のバラツキがあることを知ったうえでご自身の好きな香りを選んで楽しむのが良いと思います。
■日本アロマ環境協会(AEAJ)(以下返信メールより抜粋)
アロマテラピーは、植物から抽出した天然100%の精油(エッセンシャルオイル)を用いて行う自然療法で、植物の芳香成分がもつ抗菌作用や鎮静作用、ホルモン調整作用などを、私たちの健康や豊かなライフスタイルに役立てるものです。
「アロマ」という名称がついた合成香料も市販されておりますが、合成香料の場合は、前述のようなアロマテラピーの効果はあまり期待できません。
また、精油は天然100%のものですが、植物の芳香成分が高濃度で凝縮されており、安全に使用するためには注意が必要です。
<精油を安全に楽しむための注意点>
・原液を直接肌に付けない(必ず希釈して用いる)
・飲用しない(口に入れない)
・火気に注意すること
・目や粘膜に付けない
・お子さまやペットの手の届くところに置かない
以下、いただきましたご質問にご回答申し上げます。
Q.アロマを飲み物やお菓子作りに使用しても良いのか
A.日本の法律では、精油は一般的に「雑品」の扱いであり、食用として認められておりません。
また、上記のとおり、精油には植物の芳香成分が高濃度に凝縮されているため、飲用によって健康に影響をもたらす可能性もあるため、弊協会では精油の飲用はおすすめしておりません。
Q.アロマをオイルマッサージ等に使用するために塗布しても良いのか
A.精油には刺激が強いものもあるため、弊協会では、精油を皮膚に塗布する場合、ホホバ油やオリーブ油などの植物油に1%以下(顔の場合は0.5%以下)に希釈してお使いいただくようご案内しています。
Q.アロマは天然成分、高品質であると安全なのか
A.前述のとおり、使い方には注意が必要です。
Q.アロマは新型コロナウイルス対策に効果があるのか(ウイルス除去、嗅覚障害への効果)
A.現在のところ、新型コロナウィルス(covid-19)に対する精油およびアロマテラピーの直接的な効果が確認されたという情報は把握しておりません。精油の香りによる免疫力向上の研究などは発表されているため、必要に応じて、日常生活の中でお役立ていただけますと幸いです。
■保健所
本社管轄の保健所が指導監督をしているとのことで、港区の保健所に問い合わせました。
担当者によると「申請している輸入品は食品添加物として登録している。受理している使用方法を守れば法律的に問題はない」とのことでした
■ドテラカスタマーセンター(返信メールより抜粋)
①N氏がグループ内会員に対し、カタログにない効果を伝えている。御社はどのように対処するのか?
→N氏本人を特定し、薬機法を説明し、法に抵触する表現であることをご理解いただき、LINEグループを閉鎖していただきました。
複数回注意しても改めない会員に対しましては会員資格停止などの措置をとっております。
N氏につきましては今後も弊社で監視していく所存でございます。
一昨年から会員教育にいっそう力を注いでおり、このような問題が減ってきてはいるものの、今回のような閉鎖されたグループLINEの監視は難しく、弊社といたしましても頭を悩ましております。
②「新型コロナウイルスに効果がある」「アロマオイルをブレンドしたものが皮膚炎や骨折に効果がある」と伝えているが、御社製品にそのような効果を期待して良いのか?
→弊社の製品は薬ではありませんので、効果効能を標榜することは出来ません。またそのような効果はありません。
③ご家族、特にお子さんに対して標準治療を受けさせない恐れがある(効果を過信して医者にかからない、児童虐待につながる恐れ)が、御社製品の間違った使い方を見逃して良いのか?。
→常日頃からWebを中心に監視体制を布いております。また薬機法などの関連法規を説明する機会も設けております。
また個人様からの通報などによって、間違った製品の使い方や説明を是正させていただいております。
平素より会員教育には十分注意を払っておりましたが、今回のような不始末を生じましたことは、まだまだ弊社の管理教育体制に不行届きがあるものと深く反省しております。このようなことが再び起こらないように業務の管理により一層の注意をしてまいります。
製品購入を辞める
妻とは大喧嘩の末、自宅からドテラ製品を排除し、製品購入を辞めることを約束してくれました。
妻よりM,Nに対しては「マルチ商法嫌いの主人に反対され、話し合った結果、退会します」と告げ、LINEグループも退会しました。
会員退会にはすんなり応じたようです。
リーダーNは購入をやめた妻にメリットはないので、妻に興味を持たなくなると推察します。
購入はやめたとはいえ、妻のドテラに対する想いは無くなっておらず、Mたちとの交流もあるのではと思われます。約束してくれたとはいえ、心配は残ります。
いま思うこと
夫婦で趣味・嗜好が一緒でなくても構わないと思います。
しかしながら、妻が楽しんできたことにケチをつけることなく、聞いてあげること、それ以外での会話やコミュニケーションをとることが大切であることに気づかされました。
妻は正義感が強く、責任感が強い人です。信じ込みやすいタイプとも思います。自身の健康や子ども達の安全のために何ができるのか懸命に考えている妻の心を狙われたと思います。誰しもが陥ることがありうると思います。
マルチに関わっている人の中にも「善意」で紹介してきたり、広げようとしている人もいると思います。でも、いい人がやっていることが、いい結果を生むとは限らないと思います。
法律を守ることなく被害が多く出ている販売方法には毅然とした処分を望みます。また、現行法の改正と罰則強化し、マルチ商法の根絶を強く願います。
現在妻がまるで同じような状況にあります。辞職し、ドテラビジネスを始めました。家計は妻が管理していたので、ドテラにいくら使っているか分からず困っております。練習だったり子供に使ったりとまるで同じです。ワクチンも打たせる打たせないで討論になります。
自分の家と同じような部分があり、
それをわかりやすくまとめられていて
自分の家のことをまとめていただいたような気持ちにすらなりました。
書きたいことはたくさんありますがそうするといつまでも完成しないのでこのへんにしておきますが、
アロマオイルの香りを楽しむといところから
まったく違う方向にいっている世界観に苛立ちがつのる毎日です。