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執筆者の写真Rio

Vol#5 Z社会員の夫が退会。私がやったことは…

更新日:2022年9月21日

このような方にオススメ

  1. 恋人・配偶者が会員の方

  2. 会員の親族、ご友人の方 洗脳を解くためのヒントとして参考になれば


プロフィール

  • インタビュー相手:Hさん(30代女性)

  • インタビュー時期:2022.5

  • マルチ商法との関係:旦那さまが元会員(ただし購入のみ。10年程度)

  • 会社(Z社):日用品など幅広く提供。立ち上げから10年以上


夫が会員になったきっかけ

夫が会員になったのは、私と出会う前の2010年ごろ。


夫の親友がZ社ビジネスを始めた。


親友も初めはマルチにあまり良い印象がなかったが、アップや創設者の話を聞いてZ社の理念に共感。当時独身だった夫を勧誘した。


過去に別の人から勧誘された経験を持つ夫はマルチ否定派だったが、

「親友から紹介された事」

「アップ夫婦が気さくで良い人に見えた事」

「幼い頃からアトピーがひどく、肌にコンプレックスがあった事」

が主な後押しとなり、Z社の製品を購入し始めた。


紹介者である親友もビジネスの話をせず、「これ使ってみて!」と商品を渡した。


その使い心地が良かった事が引き金で、他の製品も試すようになっていった。


夫がZ社製品を購入していることを知る

2019年。私たちは付き合うことに。 家に泊まりに来た際、用意していた歯ブラシやボディミルクを使わず、持参している物を使う事に違和感を感じた。 また、必ず自宅でお風呂を済ませてから来る事や、浄水器から入れているという水も必ず持参、頻繁に口臭スプレーを塗布している事も気になった。 全て見た事がないパッケージであった為、後ろのラベルを見たところ、夫がZ社製品を購入していることを知る。


私は、夫との結婚を考えていたが、元々親がマルチにハマっていたので嫌悪感があり、製品価格の高さやイベント参加により会えない時間ができるのが嫌だと伝えた。



夫との対話

色々な観点で、月に1-2回程度、数か月かけて話し合いを続けました。


①Z社の商品:空気清浄機・浄水器

  • フィルター交換が必要なものばかりで維持費が高くつく

  • 数年使うと、フィルター代だけで十分に良い市販品を買える

  • どうせ変えるなら本体ごと変えた方が綺麗で性能も良いのでは

と伝えました。


それに対し夫は、セミナーで聞いた知識が根付いているのか、「浄水器は紫外線で殺菌できる・他社の浄水器では取れない有害物質が取れる」と言っていました。


②Z社の製品:サプリ

夫は、「サプリは有機栽培のものでないと…」との反応。


私は有機栽培が難しく、生産量も少ないことを学んでいた為、「そもそも全ての原料を有機栽培で作る事はできないのではないか」と話しました。


有機栽培は虫や病気、環境変化にとても敏感で、管理に手間もかかり、一つでも影響が出ると生育不良になってしまい、安定した供給が難しい。


よって、人体に影響がない範囲の農薬を使用して虫や病気から守り、安定した供給を実現している。


世界No.1シェアとされているZ社のサプリに使われる原料が全て有機栽培で生産されているとは考えにくいのではないか、と。


また普段食べる野菜は、有機栽培かどうかを気にせずに食べている事にも矛盾を感じました。Z社が販売していない物に対しては、無頓着な事にも違和感を感じました。


③紹介者の収支状況の把握

紹介者である親友とその妻も10年以上ビジネスをやっていて、いくら稼げているのか、Z社の収入だけで生活できているのかを夫に尋ねました。


結果、親友は子供もいて50歳間近だと言うのにコールセンターのバイトをしており、生活レベルを見てもZ社の収入は夫婦合わせてせいぜい10万円/月程度ではないかとのこと。(会員間でも話していない様子)


そして、親友家族が月にいくら製品代として使っているのかを計算してもらい、明らかに収入より支出の方が多くなっている点を確認し、おかしいのではないか、と伝えました。


④夫の支出状況の見える化

夫が使っているZ社製品の値段と、市販品の平均的な値段をExcelにまとめ、いかに高いか、今までどの位Z社に費やしてきたのかを見てもらいました。



夫の反応

最初のうち夫は、「Z社製品は良いものだ」と盲信していたので、私の言うことに納得しておらず、かなりムキになって反論してきました。


私はなるべく感情的にならないように心がけました。


仮に感情的になっても、怒りではなく悲しみを全面に押し出し、話し合っていました。


夫が冷静なときに、なぜそこまでZ社を擁護するのか、ムキになって反論するのかを聞いたところ、


「10年以上自分が選んでやってきたものだから、自分自身を否定されている気持ちになる」

と言っていたのが私は印象的でした。


私はあくまで、マルチ商法やZ社を否定しており、夫自身を否定するような言葉を使った事は一度もなかったにも関わらず、です。


そのとき私は次のように伝えました。


「私はあなた自身を否定した事は一度もない。そんなふうに思わせてしまう程、思考をコントロールしているZ社やマルチ商法という売り方を否定している。」


「過去は過去で変えられる訳ではないし、それも糧の一つにすれば良い。でもこのまま考えることをやめてZ社にどっぷり浸かっていると、大事なお金も失うし、私自身そこだけは譲れないから、結婚する事は難しくなる。あなたの事が好きなのに、Z社が原因でいつもぶつかって嫌な気持ちになるのは残念すぎる。たかが日用品なのに、身近な人をこんな気持ちにさせるZ社って何なのだろうか?」と。



市販品へのシフト

2019年6月ごろ、落ち着いて話を聞いてくれるようになってきたのを見計らって、私は一つ提案をしました。


「あなたとの結婚を考えているが、金銭的にも今のままだと破綻してしまう。どうしてもZ社じゃないとダメな物のみ注文し、あとは市販品にシフトチェンジしないか。ただし、市販品に変えて病院に行かないといけない程健康面が悪化したり、肌が荒れたりしたら戻す事も検討しよう。」


結果、気に入っていた3つの商品のみZ社の物にし、他のサプリやプロテイン、浄水器や空気清浄機などのコスパが悪いものは市販品を使うようになりました。


ただし市販品を選ぶ際も、私がコレ!と押しつけるのではなく、夫自身が口コミなどをよく調べて納得したものを買っていました。


市販品を使うようになった後、夫も市販品で特に変化がないと気付いたようで、「Z社の製品でなければ健康が害されるのでは」との強迫観念のようなものが少しずつ緩和されていきました。


健康診断の数値も、市販品への変更前後でほぼ変化がなく、そういった数字で納得できた節もあるのでしょう。


2019年9月、夫の方から


「どうしても嫌な気持ちにさせるなら、キッパリ退会する。あなたを失ってまで続けたい物ではない」と話がありました。


Z社以外でほぼ揉める事がないくらいお互いの性格の相性は良かったので、夫なりにZ社は自分にとってそこまで大事なものなのだろうか、と考えたようです。


私は、「今使っている商品は少し買っておいて良いから」と伝え、最後の注文をした後に退会してくれました。



10年続けた会員を退会

退会時、アップと紹介者にLINEを送ったそうです。


紹介者は、「おまえが大切にしてきたこと(Z社)を否定してくるような妻と、今後結婚して一緒に生活するのは心配だ。夫婦になったら、意見が合わない事なんて山程ある。それで大丈夫か?」と聞いてきたようです。


夫は、「彼女は思いやりもあって尊敬できる部分もあるし、Z社の事以外揉める事はほぼないんだよね」と返してくれました。


紹介者は、お互いがZ社を始める前からの親友だった為「お前が幸せなら良いと思う」と最終的に言ってくれたよう。



アップは、

「これからベビちゃんが産まれたら、サプリとか飲ませた方が絶対いいし、高くて買えないじゃなく、もっと稼げるかっこいい男になろうぜ!お嫁ちゃんも一回連れてきて話そうよ!いつ暇?●●日は?」

としつこくLINEしてきていましたが、夫ものらりくらりとかわしていました。


なお、辞めた直後の夫に、Z社の活動でおかしいと思うことを聞いたところ、

「お金稼いでいる風な割に、ホームパーティーやセミナー等、アップ主催の集まりで必ずお金徴収されるのは変だと思っていた」

と言っていました。


最高タイトル保持者のセミナーも何回か行ったらしいのですが、周りの盲信ぶりが凄くてさすがに気持ち悪かったそうで、その後行かなくなったと言っていました。



退会後

夫が退会した半年後の2020年3月、私たちは結婚しました。

結婚式には、紹介者である親友夫婦も呼ぼうとしていたので、

  • 式場にZ社製品を持ち込まない事

  • 食事の前にサプリを出さない事

  • 来席者を勧誘しない事

「この3つの条件を守れるなら呼んでも良いが、事前に伝えておいてね。」と伝えたところ、喧嘩になり、結局親友夫婦は呼びませんでした。


Z社が絡んでいなければ、家族ぐるみで付き合えたのにと残念です


また、大型製品の置き場所がなく、邪魔だったので、ほぼ全ての製品をフリマアプリに出したところ、かなり高い値段で売れて驚きました。


同時に、これだけハマっている人がいるのかと思うと恐ろしかったです。



夫の現在

気に入っていた商品は在庫が尽き、他の安いものでいいやとなったようで、全て市販品にチェンジしています。


つい先日、TwitterでZ社製品の投稿に関して話していたとき、


「あの頃の俺はイカれてたからな…」


と呟いていたので、徐々に洗脳も解けておかしかった事を自覚しているのだろうと、少し嬉しい気持ちになりました。


大切にしている実家のお母さんにも、残物であったZ社製品が使いづらいから捨てるねと言われたようで、その辺りも気持ちの変化に繋がっているのかもしれません。


SNSの繋がりもその後整理し、つい最近ではありますがアップのLINEもブロックしてくれたので、もう再勧誘される事もなさそうです。


今は紹介者であった親友くらいしか連絡を取れる環境にないので、私も安心しています。



今思うこと

夫にとっては、私との結婚>Z社だったので、Z社の会員を辞めてくれたのだと思います。


夫はビジネスとしてやっておらず、自分が安く買うために会員登録をしていただけなのでまだ良かったのかもしれません。


もし今マルチにハマっている人を辞めさせるのであれば、それ以上に打ち込める事を探し、安心する居場所を提供するのが近道だと思います。

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