本事例概要
購入だけではありますが、それでも心を離すことに苦労しながら脱会させた事例です。 ひとつの選択としてご覧いただければと思います。
会社のやり方として事務所の関係性を使った勧誘など、悪質性は高いと思われます。
プロフィール
インタビュー相手:Aさん(20代女性)
インタビュー時期:2022.7
マルチ商法との関係:恋人が元会員(2016年~2022年)
会社(Z社):日用品などを幅広く提供。立ち上げから10年以上
彼がZ社会員に
私と出会う前の2016年頃。
彼はスカウトされ、正社員の仕事をやめて芸能事務所へ入った。
しかし、芸能活動は収入がほとんどなく、アルバイトで生計を立てていた。
その後、事務所の人から勧誘され、Z社会員に。
この事務所は表向きは芸能事務所だが、実際にはZ社関係者で成り立っていた。
彼は勧誘をせず製品購入のみ行っており、月に数回開催される自己啓発セミナーに、1回500円で参加していた。
モデルとして成功するため、事務所付近で1人暮らしするよう促され、彼も従っていた。
なお、モデル間での連絡先交換は禁止されており、他のモデルが会員かどうかは分からないようになっている。
2020年の冬。私は彼と付き合うことに。
最初私は、彼がZ社会員であることを知らなかった。
ただ私は、所属モデルたちの異様な雰囲気や、
彼が「事務所社長の言うことは絶対だ」と崇拝する様子に、違和感を持っていた。
ある日、芸能活動がしんどくなってきた彼から、事務所を辞めたいと聞かされた。
辞めると決断し彼が事務所に相談すると、
「辞めるのは認められないのでこれからも来てください」との反応。
「最悪私が出ていこうか?」と彼に言ったが、拒否された。
理由は、
「恋人や家族、身近な人間に何を言われても自分の信じたものを曲げてはいけない。それで辞めるのは自分をもっていない何も叶えられない人だ」
とセミナーで言われていたためだった。
しかし、彼は鬱状態になっていたため、彼を心療内科へ連れていき、診断書をもらって事務所へ提出。
事務所を卒業という形になった。
彼がZ社会員であることを知る
ちょうどその頃、彼の心理状態への危機感から、彼の母親に連絡を取った。
すると、彼の母から、
「事務所の社長、Z社会員でしょ」と聞かされた。
義母も彼のことを心配し、過去に会員を辞めさせようと試みたが難しく、
「勧誘だけはするな」と伝え、諦めていたようだった。
そこでようやく、私は彼がZ社の会員であることを知り、
事務所への違和感に対しても納得がいった。
それから私は、とにかく事務所と彼を離そうと心がけた。
週末には無理矢理実家に帰らせ、物理的な距離を取らせたり、
なるべく私がそばにいて一人の時間を作らせないよう努めたり。
結果、事務所との連絡を断つよう私が言うと、彼はすんなりと受け入れてくれた。
これは、マルチに関係なくそもそも彼自身心が疲弊していたのと、
辞めようとしているにも関わらず事務所から勝手なことばかりされたためだ。
こうして事務所から彼を引き離すことに成功した私は、マルチも辞めるものと安堵していた。
Z社との関係の継続
事務所を辞めた後、彼から初めてZ社の話を聞かされ、Z社会員を辞めていないことを知った。
辞めて欲しいと思い、
「周りを囲って逃げ道をなくしていく常套手段だ」
「良いように利用されているんだよ」などと伝えていた。
しかし逆効果だったようで、
「お前にZ社の何がわかる、何も知らないのにZ社のことを悪く言うな」と激しく反論された。
「実際にZ社にいた人の意見じゃなければ納得できない」
と言われ、人の話やネットで調べただけの私の意見は耳に入らない。
難点なのは本人は勧誘をしていない点で、
「人に迷惑をかけていないのに何が悪い」との反応に、言い返せなかったこと。
私は仕方なく方向転換し、
「散々な目に合わされた事務所と完全に関係を切って欲しいから、Z社も辞めて欲しい。それが出来ないなら一緒には居られない。」
と伝えた。
彼は、「それは納得できるから辞めようかな」との反応。
6年続いた会員を、何とか辞めさせることができた。
いま思うこと
「Z社のことを悪く言うな、事務所の人のことを悪く言うな」 とのスタンスは変わらずで、
そこに関しては触れず話題に出さないようにしています。
かなり激しく反論されたので、私自身疲弊し、忘れたいのが正直な気持ちです。 なのでこの件に関しては腫れ物に触るような感覚です。 ただ、良くなかった、辞めた方がいいと本人に分かってもらえなくても、
先に引き離すことで得られるものはあったのではないかと思います。 とにかく力ずくでもいいから引き離すことが大事です。 また、どんなに説得する側に限界がきても、
相手の話を否定的に感情的に聞いてはいけなかったというのが私の反省点です。 散々周りの人から否定されている人間は、否定的な意見は耳に入りません。 本人がZ社は良くなかったと思ってやめた訳では無いので、現在もすごく不安ですが、
特に必要のないものだったと思ってくれているだけで今は十分かなとも思っています。 私は悩んでいた時にRioさんのツイートを見つけ、私だけじゃなかったと救われました。
本当に感謝しかありません。
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