2026年10月6日(火)放送の日本テレビ「ザ!世界仰天ニュース」2時間スペシャルで、マルチ2世が取り上げられました。マルチ被害をなくす会として、制作協力・取材協力というかたちで関わらせていただきました。

現在、TVerで見逃し配信中です(配信期間には限りがありますのでご注意ください)。TVerのアプリやサイトで「仰天ニュース」と検索してご覧ください。この記事では内容に踏み込みすぎないようにしつつ、放送を終えて感じたことをまとめます。

番組で描かれたこと

番組では、当会所属のマルチ2世当事者である佐々木晴哉さんの経験が、再現VTRとして描かれました。

母親がマルチ商法にのめり込んでいく過程と、その家庭で育った子どもが何を感じ、どう向き合ってきたのか。
マルチを単なる「騙した・騙された」という悪徳商法の話としてではなく、家庭の中で何が起きていたのかに焦点を当てた構成でした。

始まりは一本の卒業論文と新聞記事

晴哉さんは大学時代、自身の経験も踏まえて、マルチ2世をテーマにした卒業論文を書かれています。

その後、2024年に毎日新聞によりマルチ2世特集が組まれ、そのトップバッターとして登場したのが晴哉さんでした。

今回の番組化のきっかけは、この記事だったそうです。「マルチ2世」という問題が、昨今話題の宗教2世と同じように、子どもが苦しみを背負う問題として放送する意味があると考えられたようでした。

一人の当事者が自分の経験を言葉にし、それが記事になり、テレビ番組になったのです。

テレビで取り上げられることはとても難しい

マルチ2世がテレビで取り上げられたのは、私が知る限りNHK九州以来です。民放では今回が初めて、そしてバラエティ番組としても初めてでした。
しかも、NHK九州の番組ではマルチ2世以外にもマルチ商法全体の課題に触れられましたが、今回はマルチ2世に完全にフォーカスした内容でした。

テレビでこのテーマを扱うことは、本来とても難しいものです。重いテーマであること、特定の企業や個人を傷つけない配慮が必要なこと、そしてまだまだマルチ2世という言葉や問題があまり認知されていないためです。

今回それが実現できたのは、制作会社の強い意志と、その想いに応えた当事者がいたからでした。
加えて、今回の番組の最もよかったのは、マルチ2世当事者だけでなく、会員側であったお母さんご本人にも話を聞けたことです。

これは私にとっても驚きでした。これまで私自身数多くのマルチ2世や元会員の方の事例に触れてきましたし、2世側の目線のみに立たないことを意識してきました。しかしながら、マルチ2世の子どもと、会員であるその親のセットの方から話を聞けたケースはこれまでありませんでした。

私自身がインタビューを遠慮していた部分もありますし、現役会員の方にお話を聞くのは勇気がいることです。

今回、制作会社の担当者が双方の話を聞き、マルチ商法を単なる「ハマる人が悪い」「2世が一方的に苦しんできた」という単純な話として扱わなかったことが、番組の深みに繋がったのではないかと思います。

お母さんもまた、子どものためにと一生懸命でした。背景にも様々な事情もありました。「悪い親」と「かわいそうな子ども」という単純な構図ではない。だからこそ苦しいし、解決が難しい。番組はそこを丁寧に描いていたと思います。

文字で読むのとはまったく違う

晴哉さんの話は私も度々聞いてきました。新聞記事や当然卒業論文も拝読しました。卒業論文では私にもインタビューしていただきました。しかしながら、映像で見ると、受け取るものがまったく違いました。

親の様子、食卓の様子、親と子の分かり合えなさ、子どもの葛藤。見ながら、何度も自分の子ども時代と重なりました。詳しくは書きませんが、たとえば――

  • ご飯は鍋で炊き、電子レンジがないので冷たいまま食べる
  • 毎日飲まされるサプリメント
  • 会員の集まりに連れて行かれる

細かな違いはあっても、マルチ2世の経験には驚くほど共通するものがあります。見終えた後、何とも言えない、ずっしりと重い感覚が残りました。

「関係のない人」に届いたことの意味

これまでマルチ2世の問題に関心を寄せてくださるのは、どうしても当事者やその周辺の方が中心でした。

今回は多くの方が見る有名なバラエティ番組です。マルチとまったく関わりのない、たくさんの方に見ていただけたのではないかと思います。

実際放送中から、Xにはさまざまな感想が寄せられ、私のもとにも、これまで取材してくださった方や、似た経験を持つご家族の方から多くの反応が届きました。
私の周りで私の活動を見守ってくれている方にも見ていただくことができました。普段私が文字ベースで発信していることを、より深く知ってもらえるきっかけになりました。

知らなかったことが知っていることに変わる、それがこの問題の解決に向けた第一歩だと考えています。

マルチの会員親族からの相談について知っておいてほしいこと

番組内では「消費者ホットライン188」が案内されました。188は消費者トラブル全般の大切な相談窓口です。

ただ、消費生活センターは原則として契約当事者からの相談を受け、契約解除などを支援する窓口です。家族が相談した場合、話は聞いてもらえるものの、「ご本人が来ないと」というところで止まってしまうことが少なくありません。

マルチ2世や家族の立場からの相談には、まだ十分な受け皿がない。これが現状です。当会が取り組んでいるのは、まさにこの部分です。
当然相談は聞いてもらえますが、支援や相談窓口が十分ではないことも併せて知ってもらえればと思います。それが私が取り組んでいる理由でもあります。

体験談を募集しています

マルチ被害をなくす会では、マルチ2世やご家族の体験談を募集しています。

  • 親がマルチにのめり込んでいた
  • 家族・パートナーが今まさにマルチをしている
  • 番組を見て、自分のことかもしれないと思った

上手にまとまっていなくても大丈夫です。匿名での投稿・公開も可能です。私が話を聞いても、あなたが直接書いていただいても構いません。あなたの経験が、同じ立場で悩んでいる誰かの支えになることもあります。
今回取材を受けられた晴哉さんも、改めてお母さんの考えを知るきっかけになったそうです。
言葉にまとめることはそうした気づきや自分の頭の整理に繋がる可能性もあります。

体験談の投稿はこちらから。ご相談はメールまたは相談・コミュニティのページからどうぞ。

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最後に

勇気を出して経験を語ってくださった晴哉さんとお母さん、そしてこのテーマに真剣に向き合ってくださった番組制作の皆さまに、心から感謝しています。

引き続き私も、会も、できることを続けていきます。

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